ALWAYS三丁目の夕日’64

  • 監督:山崎貢
  • 出演:堤真一、薬師丸ひろ子、吉岡秀隆、小雪、堀北真希
  • 制作:2011年日本東宝
  • 上映時間:142分

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本作は「ALWAYS 三丁目の夕日」シリーズの三作目である。第一作は、昭和33年、東京タワーが建った時であった。次の年の話が「続・三丁目の夕日」。そして、それから5年後の昭和39年、東京オリンピックが開催された年のお話が本作である。

昭和33年から39年までに東京の街並みは様変わりした。高速道路や、高層ホテルの建設、代々木や千駄ヶ谷には体育館や陸上競技場も建ち東京オリンピック開催の準備が着々と進んでいた。そう、東海道新幹線もできた。しかし、夕日三丁目の東京下町風情はあまり変化していない。街並みも住む人々も。変化といえば、家にはカラーテレビなどの家電製品が揃い始めたことか。人びとの人情も変わりなく、たまには大ゲンカしたり、おせっかいと思えるほど助けあったりして生活している。将来には明るさ、希望を持って生きている。これから伸びていく社会のよさが溢れている。今の閉塞状態の社会からみれば、まさに善き時代だったのだ。

ただ、三作目となると、慣れが生じるのか最初の作品で覚えたような感動が生まれなくなる。映画としての出来は差はないのだがイマイチ面白さが半減するのは観る方の精神状態の問題だろうか。それでも、CGによるとはいえ当時の東京の街並みの映像をみると懐かしさがつのり、自分もその時代に戻った感じになる。映画を観ながらも、映画のストーリーだけでなく自分のストーリーが頭をよぎるのも悪くはないと思った。

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運命の子

  • 監督:チェン・カイコー
  • 出演:グォ・ヨウ、ワン・シュエチー
  • 制作:2010年中国
  • 上映時間:128分

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司馬遷の「史記」に記されている「趙氏孤児」を映画化したものだそうだ。中国春秋時代の話である。晋国政権の中枢にいた趙氏は敵対する武官・屠岸賈(トガンコウ)の謀略により一族が皆殺しにされてしまう。虐殺が行われた日に趙家に赤ん坊が生まれた。趙家の奥方はその子を医師に託し自らは命を絶つ。医師は赤ん坊を家に連れ帰った。医師の妻もその頃赤ん坊を産んだばかりだった。

赤ん坊の存在を知った屠岸賈は必死に探しまわり、ついに赤ん坊を見つけた。しかし、ちょっとした手違いから医師の子を趙家の子と間違えてしまい、医師の子と妻を殺した。生き残った趙家の子を育てることにした医師は、孤児が成長したときに必ず復讐することを胸に秘め屠岸賈の懐に飛び込んでいったのであった。

中国の歴史物語であり、文化の違う今の日本に住む我われには、医師の子供の育て方、子供の感情などに分かりにくく共感できないい面があるのはいたしかたないことだろう。そんな違和感を感じさせながらも128分を飽きることなく鑑賞できた。優れた作品とは言い難いが、それなりに楽しめる映画であった。

ル・シネマにて鑑賞

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永遠の僕たち

  • 監督:ガス・ヴァン・サント
  • 出演:ヘンリー・ホッパー、ミア・ワシコウスカ、加瀬亮
  • 制作:2011年米
  • 上映時間:90分

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ガス・ヴァン・サント監督は、同性愛を扱った作品「マイ・プライベート・アイダホ」「ミルク」、精神を病んだ人を扱った作品「グッド・ウィル・ハンティング」、また高校生の無差別銃撃殺人事件を扱った作品「エレファント」など一風変わった映画を作る印象が強い。この作品もある意味では精神を病んだ青年の話であり一風変わったラブストーリーである。

交通事故で両親を亡くし本人も臨死を体験した少年イーノック(ヘンリー・ホッパー)は両親の死をまだ受け入れられないでいる。また臨死体験からくるのか日本人の特攻隊成年ヒロシ(加瀬亮)の幽霊と会話したり遊んだりしている。いつも考えるのは「死」のこと。そして他人の葬式に出かけて行く。

ある日、また知らぬ人の葬儀に出ていて係員から見とがめられたとき、参列者の少女アナベル(ミア・ワシコウスカ)が彼を助けた。それから二人は急速に親しくなっていった。アナベルは実は不治の病を抱えているのだが、明るく今をしっかりと生きている。しかし、死を間近にしているのは間違いない。言わば二人は「死」という共通テーマを通じて親しくなり恋に陥る。恋は、すなわち「生」である。

イーノック少年の落ち着かない目つき、しぐさ、すぐにも壊れそうな繊細さには、人間の本質的な純粋性や脆弱性を感じる。またアナベルの死をみつめつつも快活に今を生きる姿勢や素直さにはピュアな若々しさと眩しいほどの美しさを感じる。映像の美しさがストーリーをさらに切なく美しく仕立てている。ラブストーリーとして感動を覚えるものはあるが、他方、「生」の意味合い、大人になるにつれ失うことになる純粋な精神性について考えさせられる映画である。

渋谷シネマライズにて鑑賞

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サラの鍵

  • 監督:ジル・パケ=ブランネール
  • 出演:クリスティン・スコット・トーマス、メリュジーヌ・マヤンス
  • 制作:2010年仏
  • 上映時間:111分

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アメリカ人ジャーナリストであるジュリアは、夫・娘とパリのアパートに住んでいる。彼女は、このアパートにかってユダヤ人家族が住んでいたことを知った。当時のフランスはナチス・ドイツの占領下にあり、フランス警察はドイツに協力しユダヤ人を検挙し収容所に送っていたのであった。ジュリアはアパートに住んでいた家族のことを調べ始めた。

1942年のある日、フランス警察がユダヤ人家族が住むアパートに踏み込み、一家を検挙しようとした。10歳の少女サラは弟を納戸にかくまい鍵をかけた。サラと両親は収容所に連れていかれた。サラはすぐに帰してもらえると思っていたが何時まで経っても帰してもらえない。弟のことが気になってしかたのないサラは収容所から脱走することにしたのだが・・・。

サラのたどっていく過酷な運命、ジュリアが徐々に事件の真相に近づいていく過程、戦時下と現代とが重なるような形でストーリーが展開していく。

ユダヤ人迫害事件にかかわってきた人たちやその子孫は、加害者、被害者とも意識的にせよ無意識にせよ、今なおその事件が身に染み付いているだろう。事件を調べていたジュリアも例外ではなく精神的に大きな衝撃を受けた。そしてその事件から今を生きるに当たっての示唆を得たに違いない。この映画を悲惨な物語に終わらせていないのがその点にあると感じた。

しかし、この映画を観ていて私には、権力に迎合する官憲や国民の人種差別・迫害が過去の出来事でなく、現在ここで起こっている事件のように思えてしかたなかった。

銀座テアトルシネマで鑑賞。

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Friends もののけ島のナキ

  • 監督:山崎貢
  • 原作:浜田廣介「泣いた赤おに」
  • 制作:2011年日本
  • ジャンル:アニメ
  • 上映時間:89分

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友人にこの映画を観た話をしたら、いい歳してアニメを観るのかと笑われた。アニメ映画鑑賞に歳は関係ないと思うのだが・・・。

この映画の映像はとても綺麗であるし、ストーリーも単純明快である。単純ながらも思わず感動し涙する場面もある。つべこべ言うことなく楽しんで鑑賞できるアニメ映画である。

人間を恐れたもののけ達がひっそりと住んでいる島にひょんなことから人間の赤ん坊コタケが紛れ込んできた。島の長老は赤おにナキに赤ん坊を預けた。赤おにナキは大の人間嫌い。赤ん坊とは言え人間の面倒を看るなんてできそうもない。またナキは暴れん坊で島の連中に嫌われており孤立していて誰もナキに協力しようとしない。ただ青おにグンジョウだけは悪口を叩きながらもナキを助けている。悪戦苦闘しながらコタケの面倒を看ているうちにナキは次第にコタケに心を通わせていったのであった・・・。

あえて理屈っぽいことを書くと、

人間はもののけを恐れ、もののけが住む島に近づくことを禁じている。一方、もののけも人間を恐れ人間が住む島には近づこうとしない。このように、互いに交流を拒み疑心暗鬼を生じている関係はよくあることだ。

こうした関係を打破するのは、ナキに生じたコタケに対する心情の変化のようにお互いに心を通わせるような関係をいかに作るかではないかと思う。そして、もう一つより重要なことは、青おにグンジョウがナキになしたような手助けの存在であると感じた。

この映画で私がもっとも魅力を感じたのは、青おにグンジョウのキャラクターであった。

TOHOシネマズ六本木ヒルズで鑑賞


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灼熱の魂

  • 監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ
  • 出演:ルブナ・アザバル、メリッサ・デゾルモ=ブーラン、マキシム・ゴーデット
  • 制作:2010年カナダ・フランス
  • 上映時間:131分

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この映画を観て強烈な衝撃を受けた。

宣伝文句に「圧倒的な映像で描く至高のミステリー、魂が震える究極のエンターテインメント」とあったが、たしかにストーリーはミステリアスであり、魂が震えるような感動を覚えたのは間違いない。

母親は双子の姉弟に看取られ亡くなった。遺書が残されており、姉には父親を探すこと、弟には兄を探すこと、そして父親、兄に手紙を渡すように書かれていた。訳が分からないままに姉は母の祖国中東の国に出かけて母の過去を調べ始めた。そこには思いもよらぬ数奇な母の過去が待っていたのであったが・・・。

魂が震える感動(感情)を覚えるのは、この映画のエンターテインメント性というより主人公(母親)のあまりにも過酷な運命に感じる衝撃のためであった。

母が過ごした過去と母を調べている現在が行きつ戻りつストーリーが展開していく。時折、過去か現在か、どっちだろうと迷うこともあったが、まるでミステリーを解くような感覚で映像に吸い込まれていった。脚本、演出が優れているのだろう。

この作品は2010年度アカデミー賞外国語部門賞にノミネートされていた。受賞したのは「未来を生きる君たちへ」(デンマーク制作)であったが、私としては当作品の方が受賞に値すると感じた。

当作品の原作(戯曲)作家がレバノン出身であることから、話の舞台はレバノンなのだろう。残念ながら私は中東の歴史・地理に詳しくはないのだが、この地における宗教対立、その紛争で肉親・同胞が殺された怒り、復讐の連鎖について思いを馳せざるを得ない。中東に限らず様々な地域での宗教的対立、民族紛争、政治的内戦等のニュースを表面的に見聞きして、残虐な仕打ちに「何と悲惨なことか」と感じることが多いが、実際には私たちが遠くで感じる数倍、数十倍もの悲惨な実態があるのだと思った。

TOHOシネマズシャンテで鑑賞

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リアル・スティール

  • 監督:ショーン・レヴィ
  • 出演:ヒュー・ジャックマン、ダコタ・ゴヨ
  • 制作:2011年米国
  • 上映時間:128分

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人間に代わってロボット同士が格闘技(ボクシング)を行う時代の話である。現在でも、各種格闘技のロボット競技会が行われているし、かなりのことをする二足歩行ロボットが存在するのだからロボットボクシングが喝采を浴びる時代が来てもおかしくない。

ロボットボクシングにのめりこみ全財産を失う羽目になった男、廃材部品をかき集めてロボットを作り何とか試合に勝たせて金を得ようとしていたが失敗続きであった。ある日、離婚した妻が急死したため、長い間会っていなかった息子としばらくの間暮らすことになった。息子は廃材置き場で泥だらけになっていた旧式ロボットを見つけた。彼はロボットを綺麗に洗い、ATOMと名づけボクサーにしようとした。一世代前の古いロボットは、戦ってもすぐに壊されてしまうだけと馬鹿にしていた父親であったが、息子の熱意に負けてATOMを試合に出した。すぐ負けると思われたATOMは、倒されても倒されても立ち上がる根性をもっていた。そのうち息子はATOMが秘めた機能を持っていることに気付いたのであった・・・。

この物語は古くて弱いと思われていたATOMが、何度倒されても立ち上がり粘り強く勝ち上がっていくサクセスストーリーとしても並みの面白さはある。しかし、本来の意図はロボットのお話ではなく、ほとんど面識も意思の疎通もなかった親子がATOMとロボットボクシングの試合を通じて次第に心を通わせていくプロセスを見せることにある。そのヒューマンストーリーについては、私はラストになってはじめて感動させられた。その途中では、何という父親か!何という子供か!と思うシーンがいくつかあった。それは家族関係、親子関係の文化が日米で異なることからくるのか?あるいは社会的常識が日米で多少異なることからくるのか?それともまったく私の個人的な偏見からくるものなのか?そんな拉致のないことも考えて観ていたが、総じて面白い映画であると言える。

TOHOシネマズ六本木ヒルズで鑑賞

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トゥルー・グリット

  • 監督・脚本:ジョエル&イーサン・コーエン
  • 出演:ジェフ・ブリッジス、ヘイリー・スタインフェルド、マット・ディモン
  • 上映時間:110分
  • 制作:2010年米

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最近、西部劇映画の上映が少なくなった。インディアン、黒人の人権問題の取り扱いなどに気をつかい制作が減少したことが原因らしい。そう聞かされるとやむを得ないと思うのであるが、ジョン・フォード監督やジョン・ウェインの映画を楽しんでいた時代が懐かしい。

この映画は、'69年にジョン・ウェインがアカデミー賞主演男優賞を獲った西部劇映画「勇気ある追跡」のリメイクとのことである。残念ながら私はその映画は観ていない。グリット(grit)とは、「どんな困難にも耐える根性、気骨」という意味らしいが、ストーリーは前作の邦題通りまさに「勇気ある追跡」の物語である。

使用人に父を殺された14歳の娘(ヘイリー・スタンフェルド)は復讐を決意し、老保安官(ジェフ・ブリッジス)をお金で雇い犯人を探すことにした。別件の犯罪で同じ男を追うテキサス・レインジャー(マット・ディモン)も加わり、それぞれの思いを持ちながら追跡を続けるのであった。

街では法律知識を雄弁に語り保安官と契約の交渉を上手にする気丈な少女であるが、荒野の旅や悪人との戦いでは、ある意味無頼の飲んだくれ老保安官に頼らざるを得ない。現実には理屈では解決できない側面があるのだ。その理屈と現実のコントラストが実に鮮やかに描かれていると感じた。無力ながらも強い覚悟で犯人を追い思いを遂げる少女、無頼ながら命をかけ悪人と戦う老保安官、どちらも「トゥルー・グリット」なのだろう。

2011年3月28日 @TOHOシネマズ六本木ヒルズ

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英国王のスピーチ

  • 監督:トム・フーバー
  • 脚本:デヴィッド・サイドラー
  • 出演:コリン・ファース、ジェフリー・ラッシュ、ヘレナ・ボトム=カーター
  • 上映時間:118分
  • 制作:2010年イギリス・オーストラリア

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予告編を何度も観て、この作品がアカデミー賞の多部門にノミネートされたと知ったときから、少なくとも作品賞は獲るのではないかと思っていた。そして実際のところは、作品・監督・脚本・主演男優の4部門でオスカーを獲得したのだ。

英国王室の実話に基づくお話なので、それだけで品格の高さを感じてしまうのであるが、映画自体も確かに品格のある作りである。てらいなどなく、王室にいる人の誇り、吃音という弱点をもつ人間としての悩みと苦労、さらに図らずも王位に就かなければならなくなったときの苦悩、吃音を治そうとするがなかなか思い通りにならない絶望感、最初は信じていなかった吃音矯正指導者に次第に心を許し頼っていく心の動きなどを、そのなかにユーモアを交えて丁寧に描いている。

主人公のヨーク公(王位についてジョージ6世となる)は次男である。長男のエドワード8世は、一時王位に就くも、一般人で離婚歴のあるシンプソン夫人との恋を貫くために王位を捨てるのである。世紀の恋として知られる逸話であるが、この映画では、この恋について、あまりよい感じでは描かれていない。その辺が真実なのかどうか唯一気になった点である。

内容的には国王ではなくても悩みを抱える人間のドラマとして感銘を受ける映画であった。

2011年3月4日 @TOHOシネマズ六本木ヒルズ

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トスカーナの贋作

  • 監督・脚本:アッバス・キアロスタミ
  • 出演:ジュリエット・ビノシェ、ウィリアム・シメル
  • 上映時間:106分
  • 制作:2010年フランス、イタリア

Photo イタリア、トスカーナの小さな村に、「本物と贋作」について新刊を出した英国人作家ジェームス(ウィリアム・シメル)が講演に来た。会場にいたトスカーナでギャラリーを営む女主人(ジュリエット・ビノシェ)は講演の途中で息子とひそひそ話、そのあとすぐに会場を去る。講演の後、ジェームスはギャラリーを訪れた。そして彼は図らずも女主人にトスカーナを案内してもらうことになった。案内途中で二人は夫婦と間違えられるのであるが、二人はまるで夫婦のように会話を続けるのであった。

本物と贋作について哲学的ともいえる会話が長々と続くのであるが、映画のストーリー自体も「現実と夢想」「事実と虚構」が次第に混然一体となっていき、二人の話や二人の関係が、ホンモノとニセモノの区別がつかなくなってくる。観ている方も虚実に惑わされるのであるがそれほど違和感がなくついていける。会話も英語・フランス語・イタリア語は混ざり、知的ゲームをしている感じすらする。そのあたりは、さすがアッバス・キアロスタミ作品と肯ける映画なのである。

アッバス・キアロスタミと言えば、「桜桃の味」という作品が1997年にカンヌ映画祭でグランプリを受賞している。自殺を手助けしてくれる人を探してさ迷い歩く男の映画であったが、テーマが難解で分かりにくかった記憶がある。それに比べれば今回の作品は哲学的なテーマを割と分かりやすく見事な絵飲酒つで描いていると思う。また、トスカーナ地方の映像が美しく素晴らしかった。

2011年3月8日 @ユーロスペース

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